更新日:2024年12月13日
地震や津波発生時の緊急援助隊の派遣
海外における大規模災害に対する国際協力の一環として、昭和62年9月16日「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」(昭和62年法律第93号)が公布、施行されたことにより、警視庁においても同年12月1日、警視庁国際警察緊急援助隊を編成して国際緊急援助活動を行っています。
トルコ共和国派遣時の活動状況(令和5年)
写真提供JICA
写真提供JICA
写真提供JICA
国(地域) | 災害 | 派遣期間 | 派遣人員 |
---|---|---|---|
イラン | 地震 | 平成2年6月22日から平成2年7月2日まで | 5名 |
フィリピン | 地震 | 平成2年7月18日から平成2年7月26日まで | 5名 |
マレーシア | ビル倒壊 | 平成5年12月13日から平成5年12月20日まで | 5名 |
エジプト | ビル倒壊 | 平成8年10月30日から平成8年11月6日まで | 8名 |
台湾 | 地震 | 平成11年9月21日から平成11年9月28日まで | 15名 |
アルジェリア | 地震 | 平成15年5月22日から平成15年5月29日まで | 16名 |
モロッコ | 地震 | 平成16年2月25日から平成16年3月1日まで | 3名 |
タイ | 津波 | 平成16年12月29日から平成17年1月8日まで | 12名 |
パキスタン | 地震 | 平成17年10月9日から平成17年10月18日まで | 12名 |
中華人民共和国 | 地震 | 平成20年5月15日から平成20年5月21日まで | 17名 |
インドネシア | 地震 | 平成21年10月1日から平成21年10月8日まで | 18名 |
ニュージーランド | 地震 | 平成23年2月23日から平成23年3月3日まで | 19名 |
ネパール | 地震 | 平成27年4月26日から平成27年5月9日まで | 15名 |
メキシコ | 地震 | 平成29年9月21日から平成29年9月28日まで | 14名 |
台湾 | 地震 | 平成30年2月8日から平成30年2月11日まで | 1名 |
トルコ共和国 | 地震 | 令和5年2月7日から令和5年2月15日まで | 13名 |
トルコ・シリア地震に伴う国際警察緊急援助隊派遣
災害対策課 特殊救助隊 警部
令和5年2月6日に発生したトルコ共和国南東部を震源とするトルコ・シリア地震に伴い、同年2月7日から2月15日までの間、国際警察緊急援助隊として震源地に近い同国カフラマンマラシュ県(現地)に派遣され、救助活動に従事しました。
外務省、警察、消防、海上保安庁及び独立行政法人「国際協力機構」(JICA)などで編成される国際緊急援助隊は、団長以下74名で、そのうち警察は23名(警察庁3名、警視庁13名、神奈川県警察5名、埼玉県警察2名)と警視庁の救助犬4頭で編成されました。
私たちは、羽田空港を出発して同国イスタンブールから入国し、国内線を乗り継ぐなど約26時間かけ、現地に入りました。現地は、10階程度のアパートが多く立ち並ぶ市街地であり、そのうち約8割の建物が崩壊している状況でした。
私たちの活動は、崩壊した建物内に「逃げ遅れた人がいる」という情報があれば急行し、救助犬によるドッグサーチや「音響探査機」、「レスキューレーダー」(心臓などの微細な動きを感知する機械)を使って、要救助者を捜索するものでした。
そして、要救助者の発見に繋がる反応を感知したときには、小型カメラで瓦礫の中を確認し、掘削機やスコップを使いながら要救助者がいるであろう場所まで掘り進めました。
捜索の過程で御遺体を発見することもありました。私たちは、できるだけきれいな身体で家族の元へ帰してあげたいという気持ちから、多少時間がかかったとしても丁寧な活動を心掛けました。
当初、現地の人々には「早く出して」と詰め寄られる場面もありましたが、御遺体を収容した車が出発する場面で、私たちが整列して黙とうを捧げ見送ると、涙を浮かべながら握手を求めてきましたので、日本人の死者に対する弔いの心が理解してもらえたのではないかと思います。
写真提供JICA
写真提供JICA
写真提供JICA
トルコ共和国は国民の9割がムスリム(イスラム教徒)と言われており、ムスリムにとってコーラン(聖典)は命よりも大切で尊いものと聞いておりました。瓦礫の中を捜索中、コーランや家族写真、携帯電話が出てきたときは丁重に扱い、住民に手渡したところ、「テシュクラシュ(ありがとう)」と言って何人もの人から抱きしめられることもありました。
このとき、国籍や宗教、文化は違いますが、相手を思いやる気持ちと誠実さを持ち続けることが大切であると感じました。
また、私たちが活動する直近の崩壊した建物内において、現地の救助隊が女の子の生存者を発見したときには、「自分たちには十分な資機材が無いので貸してほしい」との要請を受け、掘削機と発電機を貸したところ、生存者の救出に繋がりました。
その後、私たちに帯同していた医療班が女の子の初期診療を行ったところ、会話をすることができ、大きな怪我も無いことを確認しました。現地の救急隊に引き継いだときには、周辺で見守っていた人々から大きな拍手が沸き起こりました。
そのほか、私たちの活動に賛同を得たのか、現地の人々が、救助活動中に水やパン、温かいスープなどを差し入れてくれたり、現地での活動を終えて撤収する際には、積極的に資機材の積み込みを手伝ってくれました。
今回の派遣において、残念ながら日本の国際緊急援助隊は生存者を救出することはできませんでした。しかし、それでも帰国前の空港などでは、「JAPANありがとう」と言って、多くの人々が握手や写真撮影を求めてきて、拍手で見送ってくれました。
私たちが今できることは、今後、いつ発生するかわからない災害に備え、一人でも多くの被災者を救出するためにも、さらなる技能向上に努めていくことだと考えています。
国際捜索救助外部能力評価制度(IEC)
日本の国際緊急援助隊救助チームが「重(ヘビー)」レベルに再認定
平成22年3月10日、11日の2日間、日本の国際緊急援助隊救助チームは、兵庫県広域防災センターにおいて、国際捜索救助外部能力評価制度(IEC)を受検し、警視庁から国際警察緊急援助隊の隊員23名と警備犬4頭が参加しました。
日本の救助チームは初受検でしたが、捜索救助活動等の能力が高く評価され、重(ヘビー)・中(ミディアム)・軽(ライト)の三段階評価のうち最高レベルに当たる「重(ヘビー)」レベルの認定を受けました。
平成27年3月2日から5日までの3日間、兵庫県広域防災センターにおいて、国際捜索救助外部能力評価制度を再受検しました。警視庁から国際警察緊急援助隊の隊員14名と警備犬4頭が参加し、平成22年に引き続き「重(ヘビー)」レベルの評価を取得しました。
IECは、国際連合人道問題調整事務所傘下の国際捜索救助諮問グループ(INSARAG)のガイドラインに基づいて、各国救助チームをレベル分けして活動内容や担当場所の割り当てを行い、効果的な救助活動を推進することを目的とする制度です。
重量物の切断訓練
高所からのロープワーク
情報発信元
警視庁 人事第一課 人事係
電話:03-3581-4321(警視庁代表)
