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マルウェア「ランサムウェア」の脅威と対策(脅威編)

更新日:2024年10月10日

ランサムウェアの脅威

表は、2024年3月に独立行政法人情報処理推進機構(通称IPA)から、発表された今年注意を要するサイバー空間における「情報セキュリティ10大脅威2024」の法人部分を抽出したものです。
順位1から10の脅威は、2023年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる情報セキュリティにおける事案から、IPAが脅威候補を選出し、情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者などの有識者約200名のメンバーからなる「10大脅威選考会」により個人と組織別に選考されたものです。
組織向けの脅威として一番注意を要するのは「ランサムウェア」でした。
今一度「ランサムウェア」に関する知識・対策を確認しておきましょう。

ランサムウェアとは

ランサムウェアとは、身代金という意味を持つ英単語の「Ransom(ランサム)」と、コンピュータウイルス等を含むコンピュータに何らかの処理を行うプログラムなどを指す「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語です。

感染させた端末内のデータを暗号化などによって、利用できない状態にした上で、そのデータを利用できる状態に戻すことと引き換えに身代金(金銭)を要求するマルウェアの名称です。

ランサムウェアを使った最初のサイバー犯罪は、1989年(平成元年)に発生した「AIDS Trojan」というトロイの木馬型マルウェアによるもので、当時「暗号化ウイルス恐喝」と呼ばれていました。

以後30年以上にわたり、ランサムウェアと呼ばれるマルウェアは様々な手段・方法を使って姿を変えながら、世界各地で大規模な犯行に使用されています。

ランサムウェアによる犯罪の傾向

警察庁により公表されている企業・団体等におけるランサムウェア被害の件数は、令和3年より急増し、その後高水準で推移している状況です。
犯行手口を確認すると「二重恐喝」という手口が特に多い傾向です。
二重恐喝は、企業・団体が保有する機密データや個人情報データを事前に盗み出し、暗号化したデータを復号するための身代金を要求するのに加え、支払われない場合には盗んだデータを公開するという脅迫行為を行う手口です。
また、近年の事例として、企業・団体等に対してデータを暗号化することなくデータを窃取した上で、企業・団体等に対価を要求する手口(ノーウェアランサム)も確認されています。

企業・団体等における被害の報告件数の推移(令和6年上半期まで)


構成比は小数点以下第1位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

ランサムウェアによる犯罪の特徴

まず、ランサムウェアによる犯行の特徴として、「RaaS(ラーズ、Ransom as a Service)」と呼ばれるビジネスモデルが確立していることです。
これは、ソフトウェアを利用する期間に応じて、料金を支払うことで使うことができるパッケージである「SaaS(サーズ、Software as a Service)」のランサムウェア版です。
RaaSの提供者に利用料を支払えば、マルウェアや不正アクセスに関する知識や技術が未熟な犯罪者でも、簡単にランサムウェアを使うことが可能となります。
次に、ランサムウェアの感染経路については、VPN(注記1)機器やリモートデスクトップ(注記2)からの侵入が全体の83%を占めており、これらのテレワーク等に利用される機器等の脆弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入したと考えられるものが大半を占めております。
脆弱性とは、コンピュータのOSやソフトウェアにおいて、プログラムの不具合や設計上のミスが原因となって発生するもので「セキュリティホール」とも呼ばれます
その他の感染経路としては、フィッシングメールやスパムメール・なりすましメール等を感染対象者や不特定多数に送りつけるというものが考えられます。

(注記1) インターネットとデバイス間を仮想的な専用線でつなぎ、安全にデータ通信を行う技術
(注記2) 手元のコンピュータからネットワークで接続された他のコンピュータを操作する技術

変更事項

  • ランサムウェアの脅威内容全般
  • ランサムウェアによる犯罪の傾向内容全般
  • ランサムウェアによる犯罪の特徴とランサムウェアの感染経路を犯罪の特徴に統一

情報発信元

警視庁 サイバーセキュリティ対策本部 対策担当
電話:03-3581-4321(警視庁代表)

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