更新日:2026年7月21日
近年のサイバー攻撃では、データが一瞬にして失われるリスクが常に存在しています 。特にランサムウェアは、感染した端末のデータを暗号化して使用不能にし、復旧の対価として身代金を要求する悪質なプログラムであり、その被害報告件数は高水準で推移しています 。万が一の事態が発生した際、いち早く事業を復旧させ、被害を最小限に抑えるための唯一にして最大の対策が「バックアップ」です。ここでは、安全かつ確実なバックアップを実現するための具体的な手法と、運用上の注意点を詳しく解説します。
バックアップの鉄則「3-2-1ルール」
確実な復旧を実現するために推奨されているのが「3-2-1ルール」です。これは、以下の3つのポイントを守る運用方法です。
3つ以上のデータを持つ
元データに加え、少なくとも二つのバックアップを作成します。
2種類以上の異なる媒体に保存する
外付けHDDとクラウドストレージなど、異なるメディアに保存することで、リスクを分散します。
1つは遠隔地に保管する
火災や地震等から守るため、バックアップのうち一つはオフィスから離れた場所に保管します。
ランサムウェア攻撃から守るために
近年のランサムウェアは、復旧を妨害するために接続されているバックアップデータまで暗号化・消去しようとします。これを防ぐためには、単にコピーを取るだけではない工夫が必要です。
バックアップの物理的・論理的隔離
バックアップ用のHDDなどを常にパソコンに接続したままにしておくと、感染時に「共倒れ」になります。バックアップ時のみ接続し、終了後は速やかに物理的に切り離す「オフラインバックアップ」の徹底が求められます。また、ネットワーク経由の場合も、バックアップ先を論理的に分離された環境に置くことが推奨されます。
世代管理の実施
最新のバックアップデータが既にウイルスに汚染されていたり、不備があったりする場合に備え、複数世代(過去数日分から数週間分など)のデータを保持しておく「世代管理」が重要です。これにより、正常だった特定の時点まで遡って復元することが可能になります。
変更不能(イミュータブル)な保存
データの書き換えや削除ができない「変更不能」な機能を持つクラウドサービスや、一度しか書き込めない光学メディアを利用することで、攻撃者によるバックアップの破壊を無効化できます。
運用を形骸化させないためのポイント
せっかくバックアップを取っていても、いざという時に使えなければ意味がありません。ハードウェアやソフトウェアを常に最新の状態に保ち、ウイルス対策ソフトを導入するといった「侵入を防ぐ対策」と並行して、万が一の侵入や災害を前提とした「守りの要」であるバックアップ体制を、今日から見直してみましょう。
復元テストの定期実施
最も重要なポイントです。「バックアップは取れていたが、いざ戻そうとしたらエラーが出て復元できなかった」という失敗例は後を絶ちません。定期的にデータを元のシステムに戻せるか、訓練と確認を行いましょう。
ログの取得と保管
バックアップの成否だけでなく、システムの操作ログなどもバックアップデータと同様に適切に保管してください。これは被害発生時の原因調査において不可欠な証拠となります。
組織的なルール作り
バックアップの対象、頻度、保管場所、責任者を明確にして、情報セキュリティポリシーや業務継続計画(BCP)へ明記することで従業員に周知徹底させましょう。
情報発信元
警視庁 サイバーセキュリティ対策本部 対策担当
電話:03-3581-4321(警視庁代表)



