VOICE先輩の声
重大交通事故の現場に残る
僅かな痕跡を見付け出し
事故の全容を解明する。
交通捜査課 交通鑑識第二係
巡査長
栃木県出身
学生時代にバレーボール部で培った体力を生かせる仕事がしたいと考える中で、老若男女を問わず誰からも頼りにされるお巡りさんに強く憧れ、人の役に立つ警察官になることを志しました。そして、警察組織で最大規模を誇る警視庁で、首都・東京の治安を守りたいという思いから入庁を決めました。交通捜査課は、都内全域の交通事故の中でも特に社会的反響の大きいひき逃げ事件や重大事故発生時に出動し、交通事故の全容解明に向けて捜査を行います。私は、交通鑑識係員として各種資機材を活用しながら、事故現場の路面痕跡や遺留物などを見付け出し、事故状況を明らかにして被疑者検挙につなげる業務に従事しています。
交通事故の中でも、ひき逃げや危険運転などによって起こした事故は悪質な犯罪です。私たちの交通鑑識活動で見付け出した痕跡が手掛かりとなって、衝突状況などが解明され、被疑者を検挙することができた時には大変なやりがいを感じます。事故現場に残る衣服の繊維や車両のタイヤ痕など僅かな痕跡を見付け出すことは容易ではなく、時間の経過や天候の変化に伴い急速に消えてしまうという難しさもあります。車両を走らせながらスピーディに三次元空間情報を取得して測量する「MMS(モービルマッピングシステム)」など最先端の機材を活用し、決して交通事故の痕跡を見落とすことなく仲間たちと密に連携を取りながら、丁寧かつ素早い交通鑑識活動ができるよう日々の技能向上に努めています。
何よりも大切にしているのは決して諦めない姿勢です。交通捜査課は、交通事故捜査の「最後の砦」であるという自覚を持ち、「絶対に手掛かりを見付ける」という強い気持ちで日々の業務に当たっています。たとえ遺留物が少ない現場であっても、路面にはいつくばり、目を凝らして、僅かな痕跡を見付け出し、地道な鑑識作業の末に真実を明らかにする交通鑑識の仕事に大きな誇りを感じています。私たち交通鑑識係員の間で交わされる「絶対に何かあるから」という言葉に込められた思いが、悪質な交通事故を根絶する一助になることを願い、今後も事故に遭われた被害者の方の気持ちに寄り添いながら一つ一つの仕事と真摯に向き合っていきます。
交通鑑識のプロフェッショナルとしてたくさんの経験を有する先輩方から、現場の痕跡を見極める力や写真撮影の技術など多くを学び、1件でも多くの重大交通事故の解決に貢献していきたいです。そして、将来はここで得た知識や技術をより多くの交通捜査員に伝え、警視庁全体の交通鑑識技能の向上に努めていきたいです。
上司に連れて行ってもらってから海釣りが趣味となり、アジ・タコ・イカなどを釣って自宅で調理し、フレッシュな魚介料理を楽しんでいます。また、休日はカレーのおいしいカフェでのんびり過ごしたり、ホットヨガで汗を流したりしてリラックスしています。